『羆嵐』 吉村昭(新潮文庫)


羆嵐
吉村昭(著)
新潮社(新潮文庫)、1982年、ISBN:4101117136



大正四年、北海道の開拓村を襲った人食い羆。
その猛威に成す術を知らない村人たちは、
呑んだくれの老いた熊撃ちに希望をたくす…。


クマー 実際の事件に題材をとった小説。前フリで開拓村の前史、次に羆の出現と被害、恐怖の拡がる様子を活写、そして羆狩りとなり、ヒーローたるハンター銀四郎が登場。羆をしとめて後エピローグとなる。文庫本にして219頁、一見うっす〜いボリュームであり、スタイルも簡潔。が、息もつかさぬ緊密な構成と、ドロ〜リ特濃な中身で読ませる。


熊の凶行のリアルな描写(グシャッ、グシャッと音が聞こえてきそう)は目をそむけたくなるほど。村人たちの恐怖が全然大袈裟に感じられないよォォォォォ。安全な都会のお家で本書を読んでいても、ビンビンと恐怖が伝わってくるから、吉村さんスゲーやということになる。惜しい人を亡くしました…。


印象に残るのは大自然の猛威を前にした人間の生活の惨めさ、貧しさでしょうか(前フリで示される開拓村住人の味わった大自然の猛威…虻、蚊、蝗…は痛々しすぎる。羆に立ち向かおうとしたのは、追われてやっと住み着いた土地から離れたくないという強い思いがあった…のですけどね)。自然というのはかくも厳しい。野生にカエレ!…といわれても、俺には無理だ。


銀四郎と羆の勝負はあっさりと終わる。
そこは実録モノ…なんだろうけど、だがそれがいい

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     / クマー出没注意\
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   \     |WW|     / 怖いクマー
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      \      /      おしっこちびっちゃうクマー
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