ファンタスティック・プラネット(1973年/洋画)


必死に逃げまどう赤ん坊連れの母親、それを追う巨大な手、追いかけっこの末に、母は倒れ、赤ん坊はヒョイっとつまみ上げられる。巨大な顔。パパ、何かしら? これは人間という下等生物さ(ウロ)…な〜んてステキな出だしのフランス産アニメ映画。巨人ドラーグ人に支配される"人類"の生きる道は二つに一つ、不自由な愛玩動物か自由な害虫。ドラーグ人に拾われた赤ん坊(主人公)は成長すると逃亡、習い覚えた知識と技術を野生の人類にひろめるが、人類の進化を恐れたドラーグ人は人類絶滅作戦を開始する…。


家畜人ヤプーを思わせる"黒い"設定・筋立てもいいが、やはりビジュアルのインパクトが凄い。奇怪な動植物(グロテスクな奴らばっか)、ドラーグ人(半魚人っぽい容姿)の奇妙な生態("瞑想"中に身体と精神が分離して…これ以上はネタバレ)、そして奇妙奇天烈な機械など、見ているだけで頭がウニになりそう。淡々とした演出もいい。人類狩りとか、大虐殺とか毒のある話なのですが、湿っぽさが無く冷静に見ていられるというか、諸星大二郎のSF漫画をさらにドライにしてみました…みたいな。一番印象的なのは、クリスタル季の場面。氷雪の代わりに、クリスタルが生じ、大声を上げるとバリンバリン…幻想的。
(2007年7月10日、NHK-BS2