2006/06/21(水)読メモ

失われた時を求めて 4 - 第3篇ゲルマントのほう 1』 マルセル・プルーストちくま文庫

読了。やっと終わった。ヴィルパリジ夫人邸のパーティーの続き。そろそろこの世界の表と裏が話者にも見えてくる。愛想よく振舞いながら、裏で中傷するというのはアタリマエ。そんな中、近づいてくるシャルリュス*1。先入観を持たずともぁゃιぃ感じはプンプンするゼェェェ!!!

宮沢賢治の映像世界―賢治はほとんど映画だった』

※図書館。再読。賢治作品と「映像」をテーマにしたムック本。メインは、高畑勲杉井ギサブロー伊藤俊也…ら賢治作品を映像化したクリエイターたちへのインタビュー。各人の受け止め方の違いがうかがえる。賢治作品の映像性に、映画の影響を指摘する天沢退二郎の論*2もアリ。フィルモグラフィー*3、「風の又三郎」(1940年の白黒版)シナリオなど資料面も充実。

『新世界のユートピア―スペイン・ルネサンスの明暗』 増田義郎(中公文庫)

※図書館。「発見」・征服後の「新大陸」における種々の改革の動き*4を、スペインにおける人文主義ルネサンス)の流れと関連付けて素描する。征服者は騎士道物語的イメージ、改革者は古典古代あるいはキリスト教的理想郷イメージ…どちらも"ありのまま"を見ていると言いかねるのだが、価値観の揺れ動く知的状況にダイナミズムを読み取るべきなのだろう*5

*1:失われた時を求めて』の名物男(同性愛者)。

*2:副題は天沢氏のこの論から取られているのだろう…たぶん。

*3:1940〜1996年の映画(実写・アニメ)。TVドラマは除く。

*4:ラス・カサスに代表される…が、その周辺もフォローしている。

*5:よ〜するに、どちらも"異界""異者"に対する思い込みなのだが、"怪物の棲む恐ろしい場所"一辺倒よりはマシなのだろう。