2006/06/24(土)読メモ

『小説の解釈戦略―『嵐が丘』を読む』 川口喬一

※図書館。文学研究書。エミリー・ブロンテ嵐が丘』をテキストに、この小説を巡る「読み」の変遷を辿りながら、文芸批評の歴史を一覧する。初期の印象批評から最近のポスト構造主義まで手際よく纏めており、しかも読んでいて知的興奮を味わえるというナイスな本。

『美食家』 陸文夫

ISBN:487984084X、陳謙臣(訳)、松籟社、1987年
※図書館。中国文学(小説)。革命、文革、改革解放…激動の江南・蘇州を舞台に、ブリア=サヴァランさながらの美食家と、堅物インテリの革命青年との奇妙な因縁をたどる。革命家(いちおう主人公)を立てているように見えて、むしろブルジョワ美食家の方が生き生きと描かれている…というのは、作者のホンネ? 貪欲な食の欲求に生きる美食家にディレッタントのひ弱さはない。

『エピキュリアンたちの首都』 三宅理一

※図書館。18世紀フランスの新古典主義の建築家(ルドゥ、ブーレ、ルクー)たちの作品を、時代の思想背景(フリーメイソン思想、ニュートン物理学、フランス革命)から読み解いていくという建築史の本。対象が広範囲なためか、やや散漫な印象。このトピックの(日本語で読める)概説書としては貴重。