『ホテル探偵ストライカー』 コーネル・ウールリッチ

集英社の「世界の名探偵コレクション」の第10巻。

  • 913号室の謎 自殺室
  • 913号室の謎 殺人室
  • 裏窓
  • ガラスの目玉
  • シンデレラとギャング

…の6編を収録。
ウールリッチ(アイリッシュ)作品に名探偵?…って感じだが、たしかに「ホテル探偵」は珍しいかもしれない*1。冒頭ニ作はストライカー物。種を明かせばトリックは陳腐だが、解決までの展開と、ストライカーのキャラクターは印象に残る。「裏窓」はヒッチコック映画の原作。華やかな*2映画とは違い、うら寂しいフンイキが漂う。残り二作は少年・少女を主人公にしたジュブナイル。ギャング同士の抗争に巻き込まれるウブな少女をシンデレラになぞらえた「シンデレラとギャング」は、ロマンスのパロディのようで面白い。

ホテル探偵ストライカー (世界の名探偵コレクション10) (集英社文庫)

ホテル探偵ストライカー (世界の名探偵コレクション10) (集英社文庫)

*1:ホテル…といえば作家の森村誠一氏は元ホテルマン。その経験を反映した作品が多い。ちなみにホテルマン時代を回想したエッセイ「ホテル裏ばなし」(『宿』(日本の名随筆67)に収録)は、経験者にしか語れないいや〜んな世界である。

*2:豪華ディナーの出前に、金髪美女グレース・ケリーのサーブというのはいくら何でもサービスよすぎだろうが(苦笑)。