『黄金の七つの都市』 スコット・オデール

図書館。昔懐かしのNHKアニメ「太陽の子エステバン*1の原作本。が、アニメとは全然別物。「未来少年コナン」と原作本の関係みたいな〜。


アニメ*2「ムー」とか大陸書房の超古代史ネタをフンダンに塗した、ある意味"夢と浪漫"にあふれた娯楽作品*3だったが、こちらは16世紀スペインの新大陸征服を背景に、人間の欲望とモラルを問うマジメな児童歴史小説の傑作である。無垢な主人公*4が次第に黄金の欲望にとりつかれていくサマは切ない。牢獄と冒険*5の回想を交錯させる語りの構造も面白かった。


『黄金の七つの都市』
スコット・オデール(著)/大塚勇三(訳)
岩波書店、1977年、ISBN:4001106914

*1:NHK-BSによる再放送は記憶に新しい…と言いたいところだが、これもズイブン前か。

*2:アニメに関してはぴえろ公式サイトと、このファンサイトを参照。ファンサイトでは本書の紹介もされています。

*3:昔のアニメは結構ハチャメチャなもんでww

*4:アニメと同じエステバンという名の少年だが、こちらでは知的な地図職人(マッパー)だったりする。

*5:アニメの連想で、マヤやインカの秘境遺跡と思いきや、本書の主要な舞台は、現在のアメリカ合衆国南西部のニューメキシコ州アリゾナ州である。「深淵」はグランドキャニオン、「地獄」は地図から想定すると、ソノラ砂漠…ということか。この地域及び、16世紀スペイン人による地理的発見の経緯は、加藤薫『ニューメキシコ―第四世界の多元文化』に詳しい。