2006/07/18(火)読メモ

『慶応わっふる日記』 村田喜代子

※図書館。徳川将軍家お抱えの蘭医の家に生まれた女性の回想*1を元に、幕末の江戸を描く歴史小説。時代ものでも著者独特のやわらかな感じは健在。ヒロインのみねは『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」を思い出してしまった。ただ、幕末で終わっており、やや尻切れ蜻蛉な感は否めない。原作を読むか。

銀河鉄道の夜宮澤賢治(作)、小林敏也(画)

銀河鉄道の夜 (画本宮沢賢治)

銀河鉄道の夜 (画本宮沢賢治)

※図書館。パロル舎の「画本宮澤賢治」シリーズの一冊。モノクロ基調でやや不気味なタッチ。賢治の生きた戦前日本のイメージらしいが、名前の連想から南欧的なイメージ*2があるので、ちょっと違和感がある。

『都市と人間』 ルイス・マンフォード(改訂版)

思索社、1981年
※図書館。アメリカの社会学者・評論家のルイス・マンフォードによる建築・都市論集。モダン建築・モダン都市の"機能性"に対する疑問符、自動車中心社会の危険性など現在でも通用する内容が多い。歴史的建造物の破壊を批判する一方、ゆき過ぎた保存運動を「博物館」的として批判的。興味深い。

*1:今泉みね『名ごりの夢―蘭医桂川家に生れて』

*2:イメージ源のひとつとされる『クオレ』のイメージ…というより「世界名作劇場」的なイメージだろうか。アニメ版も世界観は西欧調である。