2006/07/19(水)読メモ

『名人』 川端康成新潮文庫

※図書館。本因坊秀哉名人の引退碁(昭和13年)の観戦体験を題材にした小説。碁といえば、ヒカ碁ブームが記憶に新しいが、それでもかつてほど一般的なイメージは薄いだろう。邪道だが、戦略ゲームやパズルゲームに置き換えてみるのもよいかもしれない*1。著者のシンパシーが「名人」*2の側にあるのはタイトルからも明白だが、芸の裏側にある奇癖や老衰を見つめる眼差しは冷徹にすら感じる。それすらも敬意の表れなのだろうが。

*1:名人の失策に、某ゲームでの「痛恨」のミスがダブった(苦笑)。

*2:…というより、それに象徴される古風な芸道の世界