スティーブン・キング シャイニング(1997年/洋画)エピソード1


スティーブン・キング シャイニング(1997年/アメリカ)
原題:THE SHINING
原作:スティーヴン・キング 『シャイニング』
監督:ミック・ギャリス/脚本:スティーヴン・キング
出演:レベッカ・デモーネイ、スティーヴン・ウェバーほか
参照→シャイニング - allcinema

まえおき

原作はスティーブン・キング『シャイニング』*1。「2001年宇宙の旅」の巨匠スタンリー・キューブリックにより1980年映画化された*2が、それをキングが酷評したのは、本作DVDのパッケージにも書かれているように有名な事実*3。いわくつきの原作の再映像化を手かげたのは、キング作品のTVシリーズで実績のあったミック・ギャリス監督。キング自身が脚本を書き、製作総指揮を取るという(原作ファンにとっては)万全の体制で製作され、三回放送のTVミニシリーズとして1997年にABCで放映された。そのDVDパッケージ化。


両面一層ディスク一枚、片面一層ディスク一枚。
一面につき一エピソード(約90分)。計三エピソード(約270分)。
四時間以上という大ボリュームである。

エピソード1かんそう

とりあえず、エピソード1*4を見てみた…。
文章構成流に言えば、発端。物語の状況説明、人物紹介、主要舞台となるホテルへのメインキャストの導入、そして来る惨劇の予兆…原作者が脚本を書いただけに(当たり前か)、原作を踏まえた堅実な展開。映像的にも(あまり期待していなかったのだが)けっこう良かった。現地ロケ*5のおかげだろうか。CGなど視覚効果はまあまあか。さすがに"トニー"の視覚表現*6だけはいただけなかった…あれじゃあまりにもあからさま過ぎて浮いてしまう。


キャストも総じて悪くない。ジャックは「原作通り」若々しく脆さを感じさせる。ウェンディはちょっと派手目で違和感があるが、それでも原作に近いアクティヴなキャラクター。ダニーは…キューブリック版のダニー・ロイドと比べると弱いが、それでも達者な演技を見せてくれる。


原作読者としては、とりあえずホッとした…。
いや、あんまりいい評判を聞かなかったものだから。
(2006年7月27日、DVDビデオ視聴)

スティーブン・キング シャイニング 特別版 [DVD]

スティーブン・キング シャイニング 特別版 [DVD]

*1:わが愛読書のひとつ(幽霊屋敷モノって好きね〜ww)。深町眞理子訳が文春文庫より二冊で出ている。

*2:本作との区別の便宜上"キューブリック版"と呼ぶことにする。

*3:この経緯については、尾之上浩司「キングのシャイニングVSキューブリック版シャイニングの顛末」(『ザ・キューブリック』フットワーク出版刊p.192-213所収)に詳しい。キュブリック版と原作を比較、さらにミック・ギャリス版も取り上げており、参考になる。原作者キングに同情的な論調であるので、キューブリック版の崇拝者は読まない方がいいかもしれない。

*4:原作の第16章まで、文春文庫版だと上巻のp.264まで。むろん細かな省略、異同はある。

*5:舞台となるオーバールックホテル(景観荘)の撮影に使用されたのは、コロラド州エステス・パークのスタンリーホテル。原作の着想源となったホテルである。ちなみにキューブリック版はオレゴン州ティンバーラインロッジ(外観だけ)。

*6:キューブリック版の腹話術演出がいいとも思えないが、顔を隠すとか霞がかった姿にするとか…。