『ワールド・イーター天才少年宇宙を救う』 ロバート・スウィンデル


地球全土を通り過ぎた暴風の後、
突如宇宙にあらわれた謎の天体。
鳩の飼育をする孤独な少年が気付いた、
その天体の驚くべき正体とは…?


図書館。少年、卵*1、宇宙…の三題噺みたいな児童SF。ナニこのバカSF(笑)…と濃いSFファンなら爆笑モノのアイデアで突っ走るSFパートが、B級特撮映画を思わせるような悪ノリ*2なのとは対照的に、主人公をめぐる日常パートは淡々としていてあくまで地味で堅実。この好対照はウマイもんだと思う。メリケン的な派手なハッピーエンドの仮定を(少年の夢想として)提示しながら、ささやかに終わる結末はいかにも英国作家っぽい*3感じ。


『ワールド・イーター天才少年宇宙を救う』
ロバートスウィンデル(著)/ 西浦すぐる(訳)/藤浪理恵子(絵)
ぽるぷ出版、1990年、絶版・品切、ISBN:4593591120

*1:卵から生まれる世界…という創世神話を念頭におくと面白い。

*2:本書自体、ソ連崩壊前の設定なのでちと古いか。

*3:英国人っぽいといえば、主人公をはじめとする登場人物がことあるごとにお茶する(貴婦人たちの午後のお茶式の大仰なものではなく、マグカップで淹れてゴクリみたいな感じだが)のね。まさに"日常茶飯事"て感じ(笑)。