『ルーベンスが見たヨーロッパ』 岩渕潤子(ちくまライブラリー)


ルーベンスが見たヨーロッパ』
岩渕潤子(著)
筑摩書房(ちくまライブラリー)、1993年、絶版・品切、ISBN:4480051910


図書館。西欧美術史。ルーベンスといえば「ほら見てごらん、パトラッシュ、 あんなに見たかったルーベンスの絵だよ」。『フランダースの犬』効果で日本でもよく知られている17世紀フランドル(フランダース)の大画家。バロック絵画の巨匠として現在でも揺るぎない名声を誇るカレの、生前のキャリアを追いかけた評伝読物。(はやりの言葉で)言いあらわせば勝ち組人生(!)の一言につきます。画家としての成功はもちろんのこと、富と名声と地位と、美人の奥さん(二人も!)も手に入れ、円満なまま人生を終える…何とも羨ましすぎる人生*1で、薄幸のネロとの落差がすごい・゜・(ノД`)・゜うわああん


画家としてよりも、(民間?)外交官、世俗の名士としてのルーベンスに重点をおいているので、西欧史好きとしても面白い読物だった*2。同時代の画家でルーベンスと接点のあった、フェリペ四世の宮廷画家ベラスケス、「カエサルの魂を持った」女流画家アルテミジア・ジェンティレスキについても触れているが、お弟子筋のヴァン・ダイク*3について触れて欲しかった…。

*1:ネロが憧れるわけだな…ま、郷里の大先輩だから目標として自然なんだろうけど。

*2:個人的にルーベンスの絵はあまり好きじゃないつ〜か、肉感的過ぎて。ヴァン・ダイクの方が好み。

*3:イングランド王チャールズ1世の宮廷画家。同王の有名な肖像画(ルーブル美術館)を描いた。参照→アンソニー・ヴァン・ダイク - Wikipedia