ミス・マープル2「動く指」/NHK-BS2


鬱屈した日々をおくる戦地帰りの青年ジェリー・バートン(主人公)は、バイク事故(実際は自殺未遂)の静養で、妹ジョアナとともにリムストック村に滞在する。折から、村では匿名の中傷の手紙が出まわり、受取人のひとりが自殺する事件がおきていた。居あわせた探偵好きの老婆ミス・マープルとともに中傷事件の犯人探しをするジェリーだが、二番目の被害者が…。


「理由なき反抗」のチキン・レースっぽいバイク事故(ジェリー役の方はジェームズ・ディーン風の風貌)ではじまり、バイク相乗り走行シーンで終わるというところが、いかにもアメリカ人好みの青春ドラマっぽい感じだったけど(苦笑)、全体的には原作のツボを押さえた堅実な内容だったと思う。珍しい…。


前面に出されていた二又ラブロマンス(家庭教師かみそっかすの女の子か)も場違いというほどでもなかったし、匿名の中傷の恐ろしさ、不気味さといった雰囲気はよく再現されていたんじゃないかと思う(時折、挿入される切り抜き手紙作成→投函の映像が実に効果的だった…)。その中傷事件が実は…という原作のミスディレクションもしっかり押さえられていた。マープルさんはあまり活躍しませんが、原作自体、ジェリー視点で展開しますので…。


しっかし、いかにも…な人が、まんまの性癖を持っている(本筋に関係ないといえば、ないけど)というのはどうなのか。あと、ゲストに映画監督のケン・ラッセル(司祭役)が出演。ラテン語をベラベラ喋りだすヘンな人…。
(2008年06月25日放送)