この本10冊―2008年以前(文芸書)
- 児童文学・ジュブナイル…4冊
- 文学書…5冊
- 文学評論…1冊
No. | 書影 | 書名 | 著者 | 出版社 | コメント |
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1. | 『夜明けの風』 | ローズマリー・サトクリフ | ほるぷ出版 | ローマン・ブリテンの終焉。歴史の激動。敗者としての屈従。その中で培われる強さ。少年の成長の過程を新しい文明の息吹きとダブらせつつ描く名作。 | |
2. | 『はるかな国の兄弟(岩波少年文庫)』 | アストリッド・リンドグレーン | 岩波書店 | 北欧文学は暗い(笑)。「ピッピ」「やかまし村」のリンドグレーンも、一方で北欧神話の終末思想(ラグナロク)を連想させるこのようなファンタジーを書いてしまう。 | |
3. | 『なまくら』 | 吉橋通夫 | 講談社 | いささか手垢のついた感のある市井の人々の歴史絵巻だが、それだけに手堅く読ませる。泣かせる。京都の言葉と風土を生かした文章もいい。 | |
4. | 『終末の海 Mysterious Ark』 | 片理誠 | 徳間書店 | 皮肉ではなく一発勝負で出る味がある。磨かれていない原石の輝き。ミステリーとしてもSFとしても"巧くない"作品ではあるが、どこか心にひっかかった。 | |
5. | 『恐怖の兜』 | ヴィクトル・ペレーヴィン | 角川書店 | チャット形式というスタイル(文体)の面白さもあるが、電脳→迷宮→ミノタウロス…というイメージの重層構造が巧い。エンターテイメントとしても秀逸。 | |
6. | 『ロボット(岩波文庫)』 | カレル・チャペック | 岩波書店 | ロボットの語源になった云々はさておき、文明論、風刺として秀逸で、現在でもいっこうに古びない。 | |
7. | 『土星の環―イギリス行脚』 | W・G・ゼーバルト | 白水社 | 英国に住みドイツ語で書くドイツ人作家。その紀行は時間と空間を自在に行き交う。単にイギリス紀行文学としても秀逸。 | |
8. | 『神を見た犬(光文社古典新訳文庫)』 | ディーノ・ブッツァーティ | 光文社 | 先行訳でほとんど読んでいるのだが、簡便な文庫の新訳で出してくれた心意気に。訳もよく、セレクションもよい。 | |
9. | 『カエサルの魔剣(文春文庫)』 | ヴァレリオ・マンフレディ | 文藝春秋 | 西ローマ帝国滅亡に、西ローマ帝国最後の皇帝…これだけでもオラわくわくしてきたぞ。イタリイの司馬遼太郎…みたいな感じなんでしょうかね? 学殖とエンタメ性の融合。 | |
10. | 『無垢の力―「少年」表象文学論』 | 高原英理 | 講談社 | 「少年」という切り口から日本近代文学に迫る。先行例はいくらでもあるが、その清新さを買う。 |