かいじゅうたちのいるところ(2009年/洋画)
■かいじゅうたちのいるところ(2009年/アメリカ)
監督:スパイク・ジョーンズ
脚本:デイヴ・エガーズ/スパイク・ジョーンズ
原作:モーリス・センダック(『かいじゅうたちのいるところ』)
出演:マックス・レコーズ(マックス)、キャサリン・キーナー(マックスの母)ほか
参照→映画「かいじゅうたちのいるところ」公式サイト
<あらすじ>
空想好きな少年マックスは母と姉の三人で暮している。が、母も姉も自分のことをあまりかまってくれない。その寂しさから母とケンカになり、衝動的に家を飛び出してしまう。浜辺から船に乗り、たどりついたのは見知らぬ孤島。そこに住んでいたのは恐ろしくて、どこかヘンテコリンな"かいじゅうたち"だった。襲われそうになったマックスは、とっさに自分が「王様」だとかいじゅうたちに嘘をつくのだが…。
だいぶ遅くなりましたけど…。
原作(既読)はモーリス・センダックの同題の児童絵本作品(邦訳は冨山房刊)。過去に短編アニメで映像化(未見)されたとのことであるが、今回は実写長編として映画化された。メインのかいじゅうたちはあえてCGを使わず、スーツアクターによる着ぐるみ演技というアナログ手法を使って表現している。監督は「マルコヴィッチの穴」の鬼才スパイク・ジョーンズ監督。
心にひっかかる余韻を残してくれたという意味では"いい映画"だった。原作を尊重しつつ独自の映像作品として作り上げたという意味で"いい映画だった"。正直あの作りこみようは"いい仕事だった"。でも見ていて、感情移入というか没入しきれないというところは、ちょっと苦しかった…と素直に告白する。
原作では仄めかされている程度の世界観(島=子供の脳内世界)を前面に押し出して、より強調するという脚色の方向性は間違っていないし、ユーモラスな表情ながら人生のにがみを体現してみせるかいじゅうたちの演技(背中で泣く…ならぬ、着ぐるみの中で泣くみたいな〜)も絶妙、時に耐え難く映るマックス自身の反抗描写も、この時期特有の危うさ、衝動の表現なんでしょう。でも重苦しいばかりで息づまってしまう。もうちょい幅を持たせてくれれば…。
荒地とも流刑地とも彼岸にも見える「島」の風景とか、「絵」とか美術のセンスは素晴らしかった。BDとかDVDで見返せば、いろいろ新しい発見があるかもしれないが、もう一度見たいかと問われると、やや気が重くなるような…。
(2010年2月1日、渋谷TOEI2)
- 作者: モーリス・センダック,じんぐうてるお,Maurice Sendak
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