第9地区(2009年/洋画)
■第9地区(2009年/アメリカ、南アフリカ、ニュージーランド)
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル
製作:ピーター・ジャクソン、キャロリン・カニンガム
出演:シャルト・コプリー(ヴィカス)ほか
参照→映画「第9地区」公式サイト(日本語)
<あらすじ>
南アフリカ、ヨハネスブルク上空に正体不明の巨大宇宙船が飛来。中には瀕死のエイリアンたちが…。28年後、地球に留まったエイリアンは「第9地区」という地域に隔離され、MNU(Multi-National United)という民間組織に管理されていた。MNU社員のヴィカスは第9地区の立ち退き作業中に、謎の液体を浴びる。それが原因で、とんでもない非常事態に巻き込まれてしまう…。
もし、エイリアンが大勢地球にやって来たら?
もし、居候として地球に居座ることになったら?
もし、それが外見も中身も異質なバケモノだとしたら?
とにかく盛り沢山の映画。闇鍋、全部のせどんぶりといった感じ。まず上記のようなクセモノな問いかけを投げかけてくる思考実験であり、南アフリカの過去の歴史とカオスな現状を踏まえたドキュメンタリー(笑)であり、政治・社会・文明への痛烈な諷刺であり、血みどろの任侠ヤクザバトルであり、オタク魂を揺さぶる巨大円盤と怪光線と巨大ロボットが出てくる超王道SFアクションであり、愛と涙と友情(笑)の感動巨編であり、グチャグチャグチャドバドバドバピチャピチャピチャ〜なゲ●と鮮血と人体破壊に満ちたお下劣B級映画である…。
それだけにいろいろな切り口があり、さまざまなレベルで語れちゃうワケですけど、逆に書きたいことがありすぎて、とりとめがなくなって収拾がつかなくなっちゃうかもしれない罠…とりあえず断章風にまとめてみます。
- 前半ドキュメンタリー風、後半はSFアクション。
- "エビ"と蔑称されるエイリアンはホントにグロテスクで、仕草も含めてエビっちゅうより●キブリってなぐらいなんですが、見ているうちに、そんな彼らがとってもプリチーに見えてしまう不思議。ギャップ萌え…?
- 難民エイリアンが南アでアパルトヘイトされちゃう様子を淡々と追う前半の展開もいいが、それ以上に後半のめまぐるしい展開が度肝を抜いてくれた。あの後半のスピード感があってこそ、ここまで面白くなったと思う。
- 前述のようにゲロ、出血、人体破壊・破裂と生理的にキモチ悪い肉体描写がこれでもかというぐらいに出てくるのだが(ここが好き嫌い分かれるところ…?)、B級映画によくある「描写のための描写」という感じはしない。オゲレツ描写が画面に独特のリアリティーを与えている。
- エイリアンのビーム兵器が炸裂し、銃弾が乱れとび、パワードスーツが暴れまわるアクションシーンはスピード感のある演出と相まって、これが低予算映画かと思うぐらいのクオリティー。なんでこんなに凄く見えるの…?
- 基本的に、地球人に虐げられるエイリアンという構図で見せ、ハリウッド映画十八番のお涙頂戴要素(エイリアン親子、主人公と妻)を入れつつも、単なる勧善懲悪を越えたシニカルな視点をみせる。
- 3年後…という含みは、やはり続編あるんですかね。名前だけ出る「第10地区」と関係アリ?
- ツレ曰く「馬鹿馬鹿しくて、オゲレツで、マジメな映画」(誉め言葉)
とにかくいい映画でした。
いろいろな「読み方」のできる奥の深い映画。
それでいて、すごく面白い。
でも、夕食に肉を食えなかったなぁ…(笑)。
(2010年4月14日、渋谷東急)
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