哀しみの暴君ネロ〜前編/NHK-BS2


古代ローマの暴君ネロの生涯を描いたイタリア製作の歴史ドラマ。前編はネロの実父グナエウス・ドミティウス・アヘノバルブスの死からはじまり、義父クラウディウス帝の死とその後を継いだネロの皇帝即位で後編に続く。これまで「暴君」の代名詞がひとり歩きして、悪役視されることの多かったネロを、人間として描いていこう…というスタンスらしい。好意的に描いている…。


ただ、少年時代を、市井に紛れて奴隷たちと暮らしていた…というのはいくら何でも脚色しすぎ。母が追放され、カリグラ帝の代には日陰者に近い身の上だったのは史実だけど。それで庶民派の理想主義者だった…なんてキャラクター作りは飛躍しすぎでしょう。奴隷女性アクテとのラブロマンスも、ネロもフツーの若者だっただよ…みたいなことを表現したかったのだろうが、退屈。


カリグラ帝のご乱行やら、政変交代の血腥さやら、ローマ政界のおどろどろしさやら、ディテールにはさすがと思わせる部分もあるのだが、全体的に見るとドラマとしては平板。後編の"暴君ぶり"に期待したい(苦笑)。