人道的介入/最上敏樹/岩波書店 (岩波新書)

人道的介入―正義の武力行使はあるか (岩波新書)

人道的介入―正義の武力行使はあるか (岩波新書)

図書館。「ガンダムによる全戦争行為への武力介入を開始する」が謳い文句のガンダム新作に影響されたというワケでもないが(苦笑)。著者の見解からすれば、ソレスタルビーイング的な「介入」は下の下なのだろうか(ソレスタルビーイングの意図・目的がハッキリしないので現段階では何とも言えないが)。


極限の状況下における状況打開手段としての"正義の武力行使"は否定していないものの、それが単なる"膺懲"、陶酔、政治的スタンドプレーになりがちで、事態をより混乱させる問題性を指摘し、事後処理も含めて慎重に議論されるべき「最終手段」であるべきとする。そして、空爆などの派手な「軍事行動」よりも、難民保護や難民支援ルートの確保など、どちらかといえば"地味"な「介入」の有効性を強調している。ユーゴ空爆ソマリアルワンダなどの過去の事例を挙げつつ、手際よくまとめており、コンパクトな良書。難しい(白黒つけにくい)テーマを扱いながら、ここまで読みやすいというのも驚異的だ。