栞と紙魚子と青い馬/諸星大二郎/朝日ソノラマ
栞と紙魚子シリーズ第二弾。カバー絵の出刃包丁で察しがついたが、冒頭から人肉嗜食(カニバリズム)ネタで、美食の果てに魔道に堕ちた食人鬼ふたりが形相凄まじく迫り((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル栞大ピ〜ンチ…と思いきや、
…即席麺は世界を救う(笑)
「あっ 汁が口に入った! ま まずいっ!」
「こ…こんなもの食べたら死ぬわ!」
(中略)
「なんだか腹の立つ消え方だったわね」
――「本を読む幽霊」本書21頁
栞と紙魚子以外のレギュラーもボツボツ顔を揃えてきて、中でも印象的なのは小説家の段一知(だん・いっち)一家。黒スーツの主人(ラヴクラウト似)、顔だけビッグサイズの奥さん、そしてトラブルメーカーの娘(クトルーちゃん)&ペット(異形の怪物ヨグ・ソトホート)。アダムス・ファミリー…あたりを思い浮かべてしまうけど、"日本のご町内の外国人家族"というアレンジの仕方にニヤニヤ。本巻じゃ、クトルーちゃんの祖父(母方)がやってくる話がイチ押し。
全半壊家屋36軒、けが人50人以上の突風…やっぱハスター?
「おじいちゃーん もっと遊んでー」
(中略)
「お父さん あんまり無茶苦茶やって またクトルーをばらばらにしないでよ」
――「おじいちゃんと遊ぼう」本書62頁
あとは深海魚の魚屋がシュールな「青い馬」、"お化け鳥居"の造型と珍しく陰惨なオチが目をひく「頸山のお化け鳥居」、ボルヘスを連想させる定番ネタながらどこかせせこましさが笑える「ラビリンス」あたりがお気に入り。
【収録作品】
- 本を読む幽霊
- 青い馬
- おじいちゃんと遊ぼう
- 雪の日の同窓会
- 足跡追って
- 黄昏の胃之頭公園
- 空き地の家
- 頸山のお化け鳥居
- ラビリンス