読メモ拡大版10月その2

間違いだらけの時代劇/名和弓雄/河出文庫


『間違いだらけの時代劇』
名和弓雄(著)
河出書房新社河出文庫)、1989年、ISBN:4309471846
図書館。『拷問刑罰史』で有名な方だが、本業は時代劇の考証家…というより、古武術家であるようで、そんな著者の面目躍如なエッセイ集。文献資料はモチロンだが、実体験や実験などの実証に基づいている考証がなされているのが興味深い。例えば、鎧は刀を防ぐことは出来るのか? 忍者服のビックリ機能性…などなど。あと昔の時代劇撮影現場の逸話も興味深い…例えば、海外原作の脚色(52頁)、共産主義と時代劇の関係(66頁)など。

政治学の名著30/佐々木毅ちくま新書

政治学の名著30 (ちくま新書)

政治学の名著30 (ちくま新書)

図書館。政治学関連の名著を集めたブックガイド。第1章〜7章はジャンル別の古典解説。第8章は時代の浅い現代(20世紀)の著作を挙げている。まえがきで、ブックガイド企画についての危惧を述べておきながら、結局フツーの古典ガイドになってしまったのはなんだかなあ…あと『聖書』を加えるべきだった。

武装解除伊勢崎賢治講談社現代新書

武装解除  -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)

武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)

図書館。国際NGOに身を置き、さらに東チモールシエラレオネアフガニスタンなどの現場を渡り歩きながら、紛争処理の最前線に携わってきた「紛争屋」の語る紛争処理の実際、国際援助の実態、そして未来の日本の国際貢献のあるべき姿について。実体験に裏打ちされたノウハウで語っていることが、そのまま巧まずして机上の空論が飛び交う日本の国際貢献論の批判になっている…いろいろな意味で挑発的。アタマだけで考えるな、カラダとハートも使え…か。

戦争と建築/五十嵐太郎晶文社

戦争と建築

戦争と建築

図書館。"戦争"と"建築"というテーマでまとめられた建築評論集。一番戦争というテーマに接近しているのは第一章の二篇…大友克洋「大砲の街」から筆を起こし、近現代における戦争と都市計画の共犯関係を綴る「前線都市」と、戦時下の都市防空・防災計画を検証する「防空都市」…だろうが、その他の文章にも戦争の影が見え隠れする。特に21世紀型の見えない戦争(テロと監視社会)の姿を描いた「セキュリティ戦争の都市」は著者のコダワリを感じる。