読メモ拡大版12月

宇宙考古学/坂田俊文/丸善ライブラリー

宇宙考古学―人工衛星で探る遺跡と古環境 (丸善ライブラリー)

宇宙考古学―人工衛星で探る遺跡と古環境 (丸善ライブラリー)

図書館。画像情報工学の権威による衛星写真を使った考古学・歴史学調査の紹介。最近よく話題になるハイテクを駆使した考古学について知りたい…という素朴な好奇心から手に取った本で、内容はすごく興味深かったんですけど…う〜ん、内容は良くても書き方がアレという好例(悪い例か…)。要点がハッキリしない上に、前後の脈絡もぁゃιぃ。おまけに誤植まで…。理系の視点から考古学をこう考えるのか…ということはよく分かったのですが、専門外の蛇足が長いのには閉口。ピラミッド発見の件は、実例に基づく記述だけに精彩アリ。

空からの民俗学宮本常一岩波現代文庫

空からの民俗学 (岩波現代文庫)

空からの民俗学 (岩波現代文庫)

図書館。これは軽めのエッセイを集めたもの。「空からの民俗学」は航空写真にうつる日本の景観を読み解く。ANA全日空)の機内誌のために書かれたもの。「空から見る日本農業」は農業の専門誌に書かれた同傾向のやや専門的なもの。「一枚の写真から」は日常の生活スナップ写真から、生活の変化を読み取る。やっぱり表題作のエッセイだろうか。「空から見下ろす地上の風景は無限の夢をさそう」カバー見返しの煽りは夢見過ぎ(苦笑)。城達也のナレーションですか? 新宿のビル群から田園風景を読み解く手並みはさすが…。

手のある神殿の秘密/たかしよいち/国土社


『手のある神殿の秘密』
たかしよいち(著)、中西立太(絵)
国土社(古代発掘物語全集)、1967年、絶版・品切、ISBN:4337123075
図書館。インカとかアステカ文明とか好きでしたからね。これも懐かしい本。タイトルはウロだったんですが、表紙絵はしっかり覚えていました。東大のアンデス調査団によるペルー・コトシュ遺跡の発掘調査と先インカ文明遺跡("手のある神殿")の発見(1960年)に取材したもの。半ば、実録のノンフィクションなのですが、日本の少年(太郎)、日本人考古学者(太郎のおじさん)、現地の少年(カルロス)三人の手紙のやりとり…という感じに脚色、なかなか面白い。

住まいと家具の文化/中村圭介、日方一城/子どもの未来社寺子屋新書)

住まいと家具の文化 (寺子屋新書)

住まいと家具の文化 (寺子屋新書)

図書館。「食べる」「憩う」「もてなす」「ねむる」「よそおう」「身を清める」「読み書き」…これらのキーワードから、日本の住宅建築文化、生活文化を読み解いていく。畳・襖・障子…日本独自のライフスタイルについて論じた本は幾つもありますが、本書の場合目新しいのは、近代以降の欧米風ライフスタイルの流入と、それによる変化についても、比較的紙数を割いていること。座敷に絨毯を敷いて、その上に靴履で闊歩していた維新時代の無茶ぶりとか、接待用の西洋館と住居用の日本屋敷の並存が、いわゆる和洋折衷の文化住宅に変容していく過程、そして戦後の急激な変化による混乱などがよく分かります。まっ、新書ですからサワリ程度ですけどね。適度に読み易いし、入門書として最適。

図解宇宙船/称名寺健荘、森瀬繚新紀元社(F-Files)

図解宇宙船 (F-Files No. 8)

図解宇宙船 (F-Files No. 8)

図書館。宇宙旅行について軽くまとめた第一部。ジュール・ヴェルヌなどのSF作品に触発された、実際の宇宙旅行への夢と宇宙開発の進展、それをいろどってきたV2ロケットからスペースシャトルまでの実在の宇宙船について解説する第二部。そしてフィクション上で活躍する宇宙船について解説する第三部。第一部、第二部は手堅くまとめているものの。第三部は(版権の都合からか)イラストが一切ナシ…というのはあんまり。ホワイトベースとかソロシップとか映像作品のフネはいいんですよ。でも、小説媒体のフネはなあ…載せて欲しかった。