「世にも奇妙な物語」秋の特別編(2008年)/フジテレビ


今回はわりと異色作が多かったと思う。


▼「ボディレンタル」
謎の老婆(吉行和子)に身体を貸すことになった女性(内田有紀)。言われるままコンピュータ会社に就職した女性。老婆の目的とは?
ネタは古典的で新鮮味は無い。無線LAN(?)を使った遠隔操作というのが目新しいのと、吉行和子演ずる老婆のキャラの面白さ…ぐらい?


▼「どつきどつかれて生きるのさ」
ボケとツッコミを至上の価値とする独立国家「大阪」。理想の相方を得られず悩む青年(横山裕)の救世主は、高級ボケクラブのホスト(山崎樹範)?
設定自体がネタで、関西お笑い芸人起用というあたりに、最後の最後あたりで大ボケかましてくるのかと思いきや、最後の最後までシリアス純愛ストーリーだった…男×男だけど(苦笑)。その手の女性ファン狙いかね?


▼「死後婚」
死者同士の見合い結婚の儀式「死後婚」。死んだ姉の「死後婚」に立ち会った妹(深田恭子)は、その相手の死者に魅入られてしまう…。
死者との婚礼ネタはホラーの定番で新鮮味は無いし、最後の逆転も安っぽい。深キョンの絶叫で、ファンに媚びようという安い発想がチラつく。こんなものが「世にも奇妙な物語」らしいと思われるようじゃ終りだね。


▼「行列のできる刑事」
その後ろに思わず並びたくなる…「行列のできる」体質を持った青年(平岡祐太)。彼が選んだ職業は刑事だった。そんな彼の一日を追う…。
今回の最大の異色作がコレ。「行列のできる」体質という奇抜な設定、それをDQよろしくゾロゾロと行列を引き摺りながら捜査を続ける刑事というシュールな映像で視覚化。なんだか知らないがスゴイ。無意味にスゴイ。ドキュメンタリータッチの演出に、ヤマもオチもない展開と「世にも奇妙な物語」のテンプレをことごとく外しながら、結果として「世にも奇妙な物語」たりえている…異色中の異色作といったところか。


▼「推理タクシー」
雨の夜、タクシーに乗った男(谷原章介)。運転手(佐野史郎)は喋り好きで、人気キャスターの殺人事件について喋りはじめる。運転者はキャスターの熱狂的ファンらしく、その話は熱を帯びるのだが…。
題名がネタバレすぎる件…。意外な展開、意外なオチ。「世にも奇妙な物語」らしさを満喫させてくれるという点では、ストレートな面白さ。筋書きと演出の良さもあったが、キャスティングが絶妙。佐野史郎のキャラでひっかけるのは、ちょっとズルイだろ…。


(2008年09月23日放送)